機関紙2011・6月・NO.341
環境を汚染する 化学物質の削減を社会全体で進めよう! 生活排水・合成洗剤が身近な自然破壊の大きな要因になっている事実を知り、「加害者にならない暮らしを足元から」をスローガンに結成された協同組合石けん運動連絡会。 設立から30年を迎える今年は、5月21・22日の2日間にわたり「
大切な胎児期の 水環境を守る視点で 水は生物にとって、生命の源です。フォーラム1日目の全体会では、人の身体の中にある水、 特にお母さんの子宮の羊水という赤ちゃんにとって大切な、水環境に視点をあてた基調講演を聞くことができました。 第1部は、 千葉大学大学院の森千里 教授による 「未来世代 の健康と環境を基準とした予防 医学」という講演でした。 教授は胎児期の環境汚染化学物質が出生後の健康に与える影響について、赤ちゃんのへその緒 を使って長年研究されています。 私たちは一見快適で便利な生活 をしているようですが、多くの 環境汚染化学物質が存在する中で暮らし、意識せずに空気中か ら、そして食べものからとそれ らを体内に取り込んでしまって います。 教授が多くの人の血液検査を してきたところ、どの人からも 必ずPCBやダイオキシンが検出されるそうです。 環境汚染化学物質による人体 への影響は人によって異なりますが、同一人物でもライフステー ジによって異なり、一番影響を 受けやすいのが赤ちやん。そし てお母さんの体内で育つ胎児は、 もっと影響を受けやすいのです。 私たちが外部から取り入れる様々な化学物質による複合汚染を軽減するためには、油を控 え、繊維質の多い野菜をたっぷ り摂取するバランスの良い食生活を送ることが有効ですが、社会全体で化学物質を削減していくことが、より重要であるとの ことです。 治療から予防へとシフトする 医学分野と同じ考え方のもと、 予防原則に基づき、次世代を基準とした社会づくりのため、シックハウスやシックスクールの原因となる化学物質を極力使用し ない家や教室をつくるケミカルタウンプロジェクトも進めているとのことです。 羊水から シャンプー の臭い? 第2部は、産婦人科池川クリニックの池川明院長による「羊水からお花の香りが・・・」という タイトルの講演でした。 近頃、出産現場では、「羊水が汚れている」、「どぶのような臭いがする」という声が聞かれるようです。院長が取り出した胎盤からも強い芳香が出てており、異臭も漂っていたという経験があるそうです。シャンプーのような臭いなので本人に確認 ところ、界面活性剤が10種類 ほど入っている製品を使い朝晩シャンプーしていたことがわかりました。 シャンプーの成分が皮膚から浸透して体内に入り、子宮にも影響を及ぼすのではないかと考えられます。胎児が育つ環境が化学物質で汚染されているとし たら健康な子どもが生まれるでしょうか。 私たちを取り巻く環境や使用するものが次世代の命に影響するのですから、増え続ける化学 物質の安全性が証明されるまでは、安全とはいえないと認識し、 身近なところから生活を見直す 必要性を強く認識しました。 2日目は、海を汚しているアジアの廃棄物についての分科会をはじめ、石けん運動の広め方、 使い方の極技、羊水の話や親子参加企画など7つの分科会が行われ、参加者はたくさんのヒン トと元気を得ることができたはずです。 2011年度 通常総代会報告 安心して暮らせる社会を協同する力で! 2011年度通常総代会が5月25日、さっぽろ芸術文化の館で開催され、 総代109名が出席しました。活発な 質疑応答の後、2010年度活動報告、2011年度活動方針・事業計画などの議案に続き、第4号議案で出された 福祉基金賛同拠出金の70円から100円への改定についても、賛成多数で承認されました。また、第9号議案では、 原子力発電に反対する決議文を読み上げ、反・脱原発運動を強く推進することを宣言しました。 景気低迷によるデフレが進み、 小売業界における価格値下げ競争が、共同購入利用高や組合員拡大に大きく影響を与えました。 ″なぜ生活クラブの共同購入に参 加しているのか" ということを 真正面から捉えなければならな い1年となりました。 ●供給実績 供給総額32億5995万円(前年対比93・8%)で、過去10年間最も厳しい結果となりました。 要因は2年連続して期首組合員数が前年割れしたこともありますが、品目別の利用状況を分析 し見極める必要があります。 ●米の共同購入 今年の防除は猛暑による "いもち病″ 等が集中的に発生したため、自主基準の成分回数5回に対して 多くの生産者が6~8 回(地域の平均回数21回)に成らざるを得ませんでした。 ●鶏肉の取り組み 国産鶏種の実験飼育をおこな いましたが、育成率が悪かったため、飼育プログラム等を見直 しました。 3月供給の中札内雪 どりは育成率が90・0%と好結果になり、今後の取り組み拡大に向けて目処が立ちました。 ●飼料用米の取り組み JAたきかわ江部乙地区での作付について協議を行ないました。実験栽培を行い、28・7ト ンの収量となり、 ㈱平田牧場の飼料用米として確保しました。 ●一支部一テーマ活動 豚肉解体講習の運用ルールを見直し、すべての支部が豚肉解体講習を開催することができま した。 テーマ活動の道具として活用し、生活クラブの豚肉への 理解が深まりました。 ●拡大活動 拡大の主体を増やすことを 第一の課題として認識し、様々な拡大活動を試みましたが、 実績766人、純増マイナス 331人となり、 班の加入者数 は201人、戸配への加入者は 565人でした。 年度末組合員 数13667人、全体に占める 戸配組合員数は62・5%となり ました。 ●福祉基金の取り組み 福祉基金への理解を深めるた めに7、8、11月に賛同者集会を 開催しました。 集会を重ねるご とに生活クラブが福祉に取り組む意義や伝える事の重要性を確認することができました。 ●ごみ・リサイクル問題 釧路を除く全支部でピッキング袋の回収がスタートしました。 回収率50%を目標としてきましたが、年間の回収率は17・5% となりました。 災害見舞積立金について 生活クラブ北海道の1年間の剰余金の一部を、東北大震災の被災地にある単協と提携生産者の復興支援にあてます。 2011年3月11日に起こっ た東北大地震は、復興へ向けての動きが始まったものの、原発事故は収束の目処さえ立たず、 日本全体が未だ大きな不安の中にあります。被災地の復興支援に最大限の協力をし、国の政策転換を求めて脱原発の活動を進めます。 2011年度の生活クラブの 課題、取り組みは次の通りです。 ①共同購入の利用結集を最重要課題とします。 ②生活クラブ福祉基金の充実を目指します。 ③反・脱原発運動を進めます。 ④生活クラブ葬儀事業に取り組みます。 ⑤第3回「食の実態調査」を実施します。 ●供給計画 総供給高32億6546万円、 世帯当り利用高20650円を 目指します。 ●米 生活クラブ米の利用人員率 30%を目指します。 ●農産物ライン 利用人員率70%、世帯当り利用高2200円を目指します。 ●飼料用米 2011年産の飼料用米の作付面積の拡大については、㈱平田牧場の必要量が確保できるよう、 JAたきかわと協議してい きます。 ●消費材を知ろう 生活クラブ米の取り組み意義を再認識し、利用結集活動を展開していきます。 年間予約制とし、 米の登録を呼びかける利用結集活動を行います。 ●遺伝子組み換え食品問題 遺伝子組み換え作物を作らな いと宣言する「GMOフリーゾー ン宣言運動」をさらに進めます。 ●拡大活動 拡大計画は加入1000人、 組合員純増142人を目指し、 協同する力をさらに高めていき ます。 チラシまきは、春と秋に全組合員で行い、9、10月に「友人・知人の紹介キャンペーン」 を行います。 新規組合員フォロー として、加入後3ヵ月間電話かけや訪問など直接的な働きかけ を行います。 ●組織活動 地区会は4、7、10、1月に開 催します。食をテーマにちょっ とした技を持つ組合員を探し、 地区会などに登場の場を作り、 学びあう関係を広げていきます。 ●わくわくまつリ 10月29日(土)、札幌コンベン ションセンターで開催します。 ●福祉の取り組み ・地域福祉の広がりを目指し、福祉基金の役割や可能性を組合員に呼びかけて、賛同者をさらに増やします。 ・安心して納得できる葬儀事業の取り組みを開始します。 ●脱原発 ・泊原発3号機のプルサーマル計画撤回を求め、他の市民団体と連携しながら活動します。 ・幌延深地層研究に反対する運動を続け、「核のゴミ」を考える幌延サマーキャンプを実行委員会で企画します。 ●環境 リユースびん回収率80%、ピッ キング袋回収率50%を目指し、 推進月間を設けてリサイクルシ ステムの浸透を図ります。 ●多様な活動の広がり ・ヒロシマ・ナガサキ平和行動に取り組みます。 ・「地球に学ぶ自然との共生」を テーマに、フィールドワーク などを組み立てます。 ・食べ物・食べ方の選択が環境にも影響を与えることを子どもたちと一緒に考える食農共育講座を開催します。 質疑応答 ・・・・・・・ Q 乳牛の飼料の放射能数値について知りたい。 A サツラクと話し合いながら調査について考えたい。 Q 原発事故に関して、生活クラブはどのように消費材に取り組むのか。情報の開示についてはどうするのか。 生活クラブ北海道は、社会に対する役割としてはどこに重点を置いて考えていくのか。 A 現在は、震災の直接的な被害があった栃木、千葉の生活クラブグループの牛乳工場の放射能検査を優先している。 今後は検査を強化し、重要度の高いものからホームぺージ を中心に情報公開する。 北海道としては、原発事故の状況を見ながら、連合の検査室 や道内の民間会社に検査に出すことを考えている。 水産物についても生産者と確認しながら調べることになると思う。 情報開示については、結果が出次第、ホームページ もしくはニュースで出す。 生産者との関係を崩さずに共同購入を継続 させ、原発に反対していく。 これが生活クラブ北海道としての社会的役割だと考えている。 意見・・・・・・・ ●震災への義援金は、生産者を支えるものだと思ったので、送り先が日本赤十字社だったのが残念。 生活クラブだからこそと期待したのに、組合員の気持ちをくみ取っていないような気がした。 ●福祉基金の拠出金の使い道をよく考え、活発で有意義な活動につなげていきたい。 ●印刷機の老朽化のためか、印刷物が不明瞭。 事業運営の設備計画として、新しく購入してもらいたい。 役員の選出(補選)について 岩野美穂さんが理事を退任し、張昌子さんが新理事として信任されました。 福祉基金助成先紹介 地域で心豊かに暮らしていくための「生活クラブ福祉基金」は、生活クラブが進める福祉事業・活動の財源になるとともに、地域で福祉活動を進めている団体に助成を行っています。2011年度は14団体に105万円の助成を行ないました。 一人で悩まないで お母さん しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道(札幌市)
シングルマザーが抱える悩み はたくさんあります。仕事の悩 みは特に多く、母子家庭だとわ かると面接してもらえない、子 どもを預ける所がなくて働けな い、子どもの具合が悪くて休む と辞めていいと言われる、不景気でいつ切られるかわからないなど、その多くが非正規雇用から来る生活不安です。 自らも離婚を経験した平井照枝さんは、東京でNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」 のひとり親家庭相談員養成講座 を受けたことをきっかけに08年 9月、ふぉーらむ北海道を設立、 「聴きあう会」を開催しています。 「お互いが心の内を話し聴くこ とで、次第に気持ちの整理がつ いて解決の糸口が見えてきます。 学費がないから進学させてやれ ないという方に、奨学金の制度 を紹介したら大喜びで帰って行 かれました。緊張の面持ちだっ た参加者に、笑顔が見えるとほっ とします」と平井さん。 非婚か離婚か死別かなど、それぞれの状況が違うので、その人にあった相談先や支援制度を紹介することも、この会の重要な役割です。 現在会員は17名。年に一度のセミナーや相談会を新聞などで 広く告知してきましたが、参加できず、まだまだ制度を知らな い人もたくさんいるはずです。 身近な人からつないでいけるよう、子育て支援の団体とも連携 しています。 また、10月には初めて札幌で 相談員の養成講座を開催する予定です。「相談員が増えてあちこちで聴きあう会が開けたらいい ですね。それが北海道じゅうに 広がっていくことが夢なんです」。 平井さんの笑顛に、着実な歩みが感じられました。 (佐々木) 難病を乗り越えるために 日本網膜色素変性症協会北海道支部(旭川市)
旭川在住の大隅蓉子さんもそうでした。同じ病気で苦しんで いる人と悩みを共有し、一緒に 乗り越えていきたいと、7年前 から日本網膜色素変性症協会北海道支部の代表として、全道各地で講演会を開催したり、相談窓口になったりしています。 視野が狭いと目の前にあるも のが探せなくてパニックになり ます。また、視たい位置に焦点 が合わせられず苦労します。外出先では、段差でつまずいたり もします。地下鉄ホームに段差 テープが付くようになってからは、色で確認できるようになりました。弱視の人にとっては色 が歩行のつてとなっているので、 点字ブロックの黄色が大切な目印になっています。しかし、この 色が景観を損ねるという理由で 目立たない色を使うようになった 場所があります。今これをなん とかしたいと思っています。 患者は全国に約5万人いると されていますが、字を読むことが 困難なため、この会があることさえ知られていません。 「今年は旭川で講演会をするので、多くの人にお知らせできるよ う、弱視でも見える大きな字で 案内を作成していきたいと思っています。そのためにプリンターが 必要で助成金を使わせてもらいました」と大隅さんは明るく語ってくれました。 (三ッ江) 春の委員研修拡大 今年度の新運営委員が人に会い、語ることを実践するため に動き出した西支部、北広島支部の拡大活動を紹介します。
子連れパワー全開!! 来場者30名 西支部の新運営委員は4名。それぞれに小さな子ど もを抱える若いお母さんたちです。今年度西支部では「なかまづくり」の大きな柱として、地区主体の展 示説明車を使った地区拡大をすすめています。この日、その先駆けとして、委員研修をかねた展示説明 会が八軒公務員宿舎で行われました。「チラシを見て来ました!」「手荒 れがひどくていい洗剤さがしています」など、途切れることなく立ち寄った来場者は30名程。小さな子ども連れのお母さんも7人いて、同じ母の 目線で語る新運営委員の言葉に真剣に耳を傾けていました。
若いお母さんたちに 生活クラブのことを伝えたい
【取材/加藤】
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