取り組み

 とんぼの会は、1996年に結成された生活クラブ米の生産者グループです。 1986年に生活クラブの米共同購入が始まって、産地との交流を深めていく中で中心を担ってきたのが当時の農協青年部でした。その中の有志がとんぼの会を自主的に結成しました。 ですから、今年は20周年ということになります。
この間、さらに交流が深まっただけではなく、農薬や化学肥料を極力抑えた農法を目指し、自主基準を設定して私たちのためにお米作りを進めています。
この「田んぼひろがる江部乙から届いた~とんぼだより」では、生育状況や現地の様子をできるだけリアルタイムにお伝えしていきます。


 まずは稲刈り直前情報! 6月…低温~7月…びっくりするくらいの猛暑~8月…びっくりするほどではなかったけれど普通に暑かった~そして9月になってから急に夜温が下がった、というのが今年の稲生育期の大まかな天候です。
それで、今はどうなんですかね、平澤会長 「稲というのは穂先から2番目のモミが最後に開花するのだけれども、そこがちゃんと実っているので今年もほぼ平年以上は収穫できそうだね」


平澤会長のお話しは続きます 「今年で7年連続の豊作で、こんなに続くことってこれまで経験したことがないよね。機械とか肥料とか農薬が新しくなっただけではなく、北海道にあった品種ができたことが大きいと思うよ、この7年続きの豊作は」
今年も米登録の活動が始まりましたよ 「予約をして食べてくれることは、本当にすごいことだと思う。他では絶対ないことだし。今年もおかげさまで豊作になりそうなので、ぜひ、登録をしてたくさん食べてほしいですね」
あらためてですが、平澤会長から見た活クラブって? 「生活クラブの組合員に初めて会ったのは、1988年の調印式(注;生活クラブと当時の江部乙町農協との協同組合間提携の調印式)のときで、形式的なセレモニーなのに主婦の人たちがたくさんやってきたのが印象的というか、びっくりした。でも、この人たちに自分が作ったものを食べてもらっているんだというのが、新鮮だったのを今でもおぼえている。」


当時、平澤会長は農協青年部の役員で、生活クラブとの交流を買ってでてくれたというのが伝説のように語り継がれているのですが… 「あの頃、年配の農家の中には、うるさいことをいう消費者がきたと思っていた人もいたようだったけれど、青年部では"食べる人が身近にいる"ということが、これからの時代には良いことなのではないかと…そこで、自分たちが交流事業をやりますって言ったんだよね」 それから数年後に、この青年部メンバーの有志が集まって「とんぼの会」を結成したというわけなのです。 それから20年経ち、若いとんぼのメンバーも増えてきました! これから、稲刈りツアーや米交流会が開催されます。みなさんも、交流に参加しませんか?


最後に、平澤会長からのメッセージです。


「生活クラブ組合員の皆さまへ 今年もまずますの豊作が見込まれています。決して天候に恵まれたわけではありませんが、農業機械や資材の進化、そして品種改良によって実に7年連続で収穫の喜びを味わえそうです。 これだけ機械や技術などが発達しても私たちはいまだに、機械植えした後の植えそこなった箇所に1本ずつ手で苗を植えたり、稲刈りも機械刈りの後で落ち穂を拾ったりしています。 これらはお金に換算してもほんの僅かで、手間の方が大きいくらいなのですが、私たち米農家は心のどこかでお米を崇(あが)めているからやり続けているのでしょう。そして同時に、日本人の主食を作っているという誇りをもっているから、ともいえます。 とはいえ、異常気象がもはや異常ではなくなり、また目まぐるしく変わる農業政策で農家にとってますます厳しい時代になっていくことでしょう。 ですから、生活クラブの皆さんがたくさんお米を食べてくれることが、なによりの励みとなります。今年も各支部で米登録の活動が進んでいると聞いて、とんぼの会メンバーたちは、今年の天候や病害虫に苦労したことがふっ飛んだような思いです!そして、みんな登録の結果が出るのを楽しみに待っています。 とんぼの会会長 平澤一彦

 7月のような好天が続かない8月ですが、いよいよお米作りも佳境に入ってきました。
今は「登熟期」といって、籾(もみ)の中でミルク状から硬い米粒に変ろうとしているところです。
このミルク状を狙ってやってくるのがカメムシです。
カメムシといっても、その辺でみかけるこんなのではなく、アカヒゲホソミドリカスミカメという名前のまんまの形状のこいつです! 虫が嫌いな方、ごめんなさい!

でも、こいつが籾の上からくちばしを差し込んで、ミルクを吸うようにして食害を与えてしまうのです。被害粒がこちら!
と、前置きが長くなりましたが、この時期にやってくるアカヒゲホソミドリカスミカメに対抗するための防除をしなければなりません。
この日は、会員の山口忠さんが防除作業を行っていました。


「予察といって、田んぼで虫取り網を20回振って2頭(カメムシは1頭、2頭と数えるそうです)入っていたら、防除をすることとしてるんだわ。 今散布しているのは「トレボン」といって、いわゆるネオニコチノイド系の薬剤ではないからね。 お盆が明けると、稲刈りに向けて田んぼを乾かし始めるんだよ。水を抜くのに水口(みなくち)を開けるんだけれど、それを全部回るのに一日がかりさ。 乾きすぎるのもよくないので、晴れた日が続くと"走水(はしりみず)"といって、ちょっとだけ水を流したり。それも一日がかりで、まだまだ忙しいんだわ」(山口さん談)


山口さんは、お父さんの代から有機質肥料を入れているそうです。
「代かき(田植えをする前に田んぼの泥をかき混ぜて、平らにする作業)の頃に、ミミズがたくさんいるんだよね。それが当たり前だと思っていたし…」
それは、とんぼの会の農法としても、しっかり受け継がれているようです。


遅ればせながら、今年からとんぼの会事務局となった大谷慎一さんを紹介します。
JAたきかわ入協(協同組合なので入社ではなく入協です)3年目の21歳。
昨年までは資材課にいらしたそうです。
とんぼの会事務局に抜擢(!?)された感想は?「いや~、毎日が緊張です」
趣味はサッカーで、観戦ではなくプレイする方。
独身、彼女なし…と、きっぱり教えてくれました。


 7月下旬は稲が開花する時期です。
花が咲くということは、ここで受粉をして実になる…つまり米粒を形成し始めるといった重要なときでもあります。
とんぼの会を担当されている空知農業改良普及センターの平田和美専門普及員が、この日の視察に同行してくださいました。平田普及員によりますと、現在の状況は平年より1日遅れとのことです。
そぐそばでとんぼの会の平澤会長は「いや~農家の実感では、ほぼ平年並みだけどなぁ」
稲の花はとても小さくて、でもちゃんとひと粒に一輪(っていうのかな?)ずつガンバって咲いていました。太陽の陽ざしをいっぱい浴びて、おいしいお米になることでしょう。
これが稲の花です。接写し過ぎて、ちょっとピンぼけですが

7月に入ってからは気温の高い日が続き、5月の低温による遅れを挽回しました。成長障害に遭いやすい危険期が過ぎたので、ちょっと安心していいみたいです。
茎数も平年より多くて、ある程度の量は確保できたのではないか、とのことです。
平田普及員がこの日のために作ってきてくれた気象経過グラフでは、気温のところが7月になると振り切っていました!

無事に花が咲きましたが、お米を育てていく上でこれからもいろいろ気をつけなければならないことがあります。
まずは害虫のカメムシ。花が咲き終わって籾(もみ)の中でお米がまだミルク状のときに、殻の上からストローのようなくちばしを突っ込んでチューチュー吸ってしまうのです。チューチューされたものはお米になっても黒く変色してしまい、食べられません。ですから、この時期はカメムシとの戦いになります。 カメムシは全然グルメではないので、畦(あぜ)草のハルジオン(通称ビンボウグサ!)の実も、田んぼの中で育っている高級道産米ゆめぴりかも同じくらい大好きで、むしろ畦にとどまっている場合は「田んぼに移動するのめんどくせっ」などという横柄な態度。だからこの時期はあえて畦草を刈らずにそっとしておくのだそうです。 でも、近くで麦の収穫が始まったりすると、そこにいたやつらが田んぼに飛んできて、「やった!ぴりかだぜ」などといっぱしのこといって被害を与えるのですね。 もしもそうなった場合は防除をしなければならず、それがそろそろかな…と平澤会長。
もう一つ心配なのがいもち病です。8年前に北海道で大発生をして、とんぼの会でも被害が甚大となったために急きょ自主基準を見直すほどでした。 その後は防除が徹底されて減少はしています。高温多湿の気候で発生しやすいのですが、今年はまだ兆候が見られず、このまま推移するといいですね。
害虫に病気に台風と、まだまだ油断はできませんが、着実に収穫の秋に向かっていることを、炎天下の田んぼで感じました。
おまけ…
平澤会長は先日、畦でカモの卵を見つけて自分でふ化させたそうです。(自然界にとっては良くないことですよね?日本野鳥の会にはないしょにしておかなければ)
でも、子ガモを見つめるまなざしは、父親のそれでした。
 記録的猛暑が続く北海道!という新聞の見出しが朝刊に踊ったこの日は、総勢26人で今年の「田んぼの生きもの調査」に行ってきました。

バスの中で「田んぼの役割」というミニ学習会を行いました。
田んぼには「たくさん生き物がいて(…今日はその調査なのです)、小さな生態系を営んでいる」「貯水力がとても大きいので、洪水を防ぐダムとなる」「水の面積が大きく、また稲自体も呼吸していることにより周囲の温度を下げるクーラーとなる」という三つの役割があることを学習し、田んぼの認識を新たにしました。

滝川に着くと、まず農協の会議室をお借りして、生きもの調査に向けての事前学習会を行いました。
今年のインストラクターである㈱野生生物総合研究所の酒井健司さんから「田んぼの中の生物多様性」について、またもう一人のインストラクター(今年はダブルキャスト!)のとんぼの会会長平澤一彦さんから「田んぼの生き物の共生…現場から見えること」をお話しいただきました。 酒井先生からは、北海道の田んぼにいる可能性がある生き物について、平澤会長からは実際の田んぼで仕事をして感じる生き物についてをお聞きしました。
 今日は暑いので、たくさんの生き物がいそうだなという期待を込めて、また「熱中症にくれぐれも気をつけて!」を何度も
確認しながら、いよいよ生き物調査開始です。

調査をした田んぼは、今年は悪天候のために中止となった田植えツアーで植えるはずだったところです。
このところ好天が続いたので、稲はびっくりするくらい立派になっていて、 あの陰にたくさんの生き物がいるはずだ…の気持ちが高まってきます。

平澤会長の「まず、畦に立ってじっと田んぼの中を見て下さい。じっと見続けていると、やがて小さな生き物までが見えてきます」とのレクチャー。さすが田んぼを見続けて半世紀(たぶん)の人の言葉には重みがありますね。
…なのに、子どもたちはソッコーで田んぼにバジャバジャ入ってしまい、いよいよ調査が始まりました。
 結果はというと、昨年の20種類よりも少ない18種類でした。
少なくなった原因は、昨年まではこの田んぼは用水池にいったん貯めていた水を使っていましたが、今年は石狩川の水が用水路を伝ってくるので、 池の生き物がこられなくなってしまったためではないかとのことです。
確かに昨年は、モツゴという魚やミズカマキリがいました。彼らに会えなかったのはそのためだったのでしょうか。
 せっかく調査に来たのに種類が減ったのは残念でした。でも、環境が変わったばかりだからこれから徐々に増えていきますよねぇ酒井先生、って期待を込めて聞きましたが、 「いや、そんなには変わらないでしょう」とのお答え。…そうですか

まあ、とはいうものの来年こそは、この田んぼで絶滅危惧種の生き物を発見したいものです。

あれ?そういえば確かに暑かったけれども、みんな元気で無事に調査活動を終えました。バス中学習会にあった「田んぼにはクーラーの役割がある」は本当だったのですね。

皆さま、おつかれさまでした。


 普及センター報告の生育状況は4日遅れですが、人によってばらつきがあるみたいですね。
今は「幼茎期」といって分げつ(茎が増えていく時期)の直前なので、本来ならばもう少し全体が広がるような姿になっているはずが、まだシュンってなっていますね。
原因は低温が続いたためです。葉先が黄色っぽいのは気温が低いのと、風で擦れたからでしょう。 とはいうものの、この低温の中ではよく育っている方で、まだまだ挽回できます! この1か月が勝負だね。
(談;とんぼの会副会長 埴渕さん)
 この日はケイ酸資材散布の試験運転を実施していて、7人のとんぼメンバーが視察にきていました。
このケイ酸資材とはケイ素土という土から作られた肥料で、これをこの時期に施すことで稲の抵抗力を高めて病害虫に負けず、耐冷性や登熟向上、さらには不稔が軽減されるという効果が期待されるそうです。
登熟向上とは、お米の仕上がりが良くなることです。また、不稔…つまり実が入らないモミを減らすことでたんぱく分が分散され、タンパク値の低い=食味の良いお米になるとのことです。
今年から田植え機を改造した散布機で、試験的に実施します。今日、視察に来たメンバーが6月下旬から順番に散布して、秋に結果を検証していく予定です。
結果が楽しみですね。

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