生活クラブ つれづれコラム

生活クラブからお届け 徒然記

2011年07月21日

「ボローニャ紀行」

理事 江川 靖子

"ボローニャ"
イタリア半島の人口39万の都市。
西欧最古の大学"ボローニャ大学"がある。
卒業生にはダンテ、コペルニクス、ガリレオ・ガリレイなど
そうそうたる名前が並ぶ。創立は日本の平安時代だというから驚き。
日本茶の自動ティパック包装システムを開発したのもこの街で
娘が大好きなボローニャソース(ミートソース)の発祥地でもある。
そんなボローニャに30年以上も恋焦がれていた井上ひさし氏が
この地を訪れ誕生した「ボローニャ紀行」。

平和を考える活動の一つとして秋から始まる読書会に向け、今、
文化委員会では毎月おススメ本のプレゼンテーションを行っている。
今回は私の番。
「何にしようかな」と、ふと目に留まったのがこの一冊。
全く地名すら知らなかったボローニャがどんどん読み進んでいくにつれ、
魅力的な地になっていく。

地域の課題に志を持つ者が集まって協同組合を作りみんなで解決していく。
ホームレスの救済組合、お年寄りの宅配組合などなど、その発想が
とても興味深い。
路線バスの巨大な車庫が更生施設に、女子修道院が図書館へと古い歴史的
建造物が外観を残したまま、内部が公共の文化施設へと新しく生かされ
市民生活の中で新たな機能を持って生まれ変わる。
どんどん破壊していく日本とは対照的だ。

東北大震災、津波災害、未だ収束のめどさえたっていない福島原発。
これからの私たち一人ひとりの生き方が問われている。
歴史・家族・人・市民自治・人民主権・・・を尊重するボローニャ方式
と呼ばれる街づくりにその答えのヒントがあるように感じる。

「ボローニャ紀行」是非、読んでみてください。
そして、続きは文化委員会の読書会で語り合いましょう。